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カラクリサイクル

『輝かしい青春』なんて無かった人の雑記

TPPによる著作権侵害の非親告罪化が Web サービスにもたらす甚大な影響について

概要: を書きます。


さっき Reeder 2 で RSS/Atom Feed の消費をしていたら、

キュレーション終了のお知らせ、著作権侵害は非親告罪化で調整
ttp://www.kagua.biz/strategy/jinzai/tpp-hushinkokuzaika.html

というかなり煽ってる Web サイトがはてブの Feed か何かで流れてきたんですが、 TPP による著作権侵害の非親告罪化は、別にキュレーションだけの話ではなく、

  • 僕ら Web 開発者が運営している Web サービスにも甚大な影響が出る

と思うので、その辺り煽りつつ書きます。

1. 著作権侵害の非親告罪化ってそもそも何よ?

まず簡単におさらい。

そもそもの話、日本国法における

  • 親告罪
  • 非親告罪

の違いは何か、っていうと、

  • 親告罪
    • → 被害者の告訴がなければ公訴できない罪
  • 非親告罪
    • → 被害者の告訴の有無に関係なく告訴できる罪

という違いがあります。

で、今までの著作権法における、著作権侵害の扱いについては、前者の 親告罪 であり、これは現行法では、

著作権侵害は、著作権者の告訴がなければ、裁判まで行かない

という感じになっています。

そのため、この手の問題でよく言われている、

  • 同人誌や二次創作、コスプレ

といった創作活動 or 表現活動は、

  1. 著作権法を厳密に解釈すれば、著作権者の許可なく行うコトは違法である
  2. しかしながら、著作権者の告訴がなければ、告訴までは行かない
  3. よって、この手の行為は違法状態ではあるものの、よほどのコトがない限り事件化まではされない

という状態でした。

が、しかし。

今回、 TPP によって著作権侵害が非親告罪化する場合、今の現行法に、 なんら緩和策を加えるコトなく著作権侵害を単純に非親告罪化すると、 現行法ではグレーというか、事件性が曖昧だった著作権侵害が、

  • すべて著作権者の許可を得ない限り 犯罪 となる

という状態になります。

で、この何もかもが違法になるとかそういうのはちょっとまずいっしょ、 ってコトで、赤松健先生を始め、様々な漫画家先生方や、あるいは議員先生方が、 その辺りなんとかしましょうや、って頑張っておられます。

この著作権侵害の非親告罪化、ぶっちゃけ同人誌や二次創作、あるいはコスプレやなりきりだけで話が済めばまだいいんですが、 そうは問屋がおろさず、僕ら Web 開発者が、必死こいて運営している Web サービスにも、 甚大な影響を与える 、 というのはあまり言われてないと思うので、その辺り次の項目で書きます。

2. 法の規制は有象無象の区別なく、あなたの Web サービスを破綻させるわ。

という煽りは置いておいてですね。

ぶっちゃけ、今回の TPP による著作権侵害が違法化されるとなると、 コンシューマーというか、まあ、

  • ユーザーが何か投稿して云々 をする Web サービスすべて

が、かなりの影響に晒されると思うんですよ。で、それは何かって言うと、まあ刑事的な責任でいえば、

  1. ユーザー投稿が可能な Web サービスにおいて
  2. Web サービス上で著作権侵害が起きたとき
  3. Web サービスの運営者(私人、法人問わず)が、著作権侵害の幇助の既遂 として扱われかねないのではないか

というのが僕の懸念です。

まあこの辺り、プロバイダ責任免責法でカバーされるのかもしれませんが、ぶっちゃけ、児ポ法での取り締まりの時に、

  1. 児ポを集める目的で
  2. 掲示板などを開設する行為は
  3. 児ポ法で定める罪の 幇助の既遂である

っていう判決が出てるんですよね。

で、この理論をですね、著作権法における著作権侵害に当てはめると、

  1. 著作権を侵害するコンテンツを集める目的で
  2. Web サービスを開設し運用する行為は
  3. 著作権侵害の幇助の既遂である

となるのではないか? と僕は思うワケです。

無論、これは実際に裁判となり、判決がでないことにはどうなるかはわかりませんが、 先に述べた一番の、

著作権を侵害するコンテンツを集める目的で

という案件、その著作権侵害が起きる可能性を十分認識した上で、 それでもなおサービスの公開に踏み切った、とか判断された場合、 プロバイダ責任免責法による責任免除の範囲外になる可能性 だってあるわけです。

もっと具体的に言うと、

  1. Pixiv とか
  2. Naver まとめとか
  3. はてブ (はてなブックマーク)

などは、

  1. その Web サービスの性質上、 著作権侵害を構成する可能性が高く
  2. かつ その可能性を予見していたにもかかわらず、 Web サービスの運営を続けた 、として
  3. 運営元の法人 が、 著作権侵害の幇助の既遂として処罰されるのではないか?

という問題がある、と僕は考えています。

で、僕はこれ、別に Pixiv とか Naver まとめとかはてブとかに恨みがあるとかそういう訳ではなく、 僕自身も、現段階では人が全くいないとはいえ、 the.chnlr.net という、 ユーザー投稿が可能な掲示板群とか運営している訳ですよ。はっきり言って他人事じゃない訳です。

で、一応 Pixiv とか Naver まとめや はてブでは、規約の類いで、著作権侵害を禁じているとはおもうのですが、 その理屈が裁判で本当に通用するか、という点については、やっぱりリスクがある訳です。

特に、 Pixiv だと著作権侵害の非親告罪化の影響をモロに食らう二次創作とか大量にある訳ですし、 また、Naver まとめでは、著作権もへったくれもないまとめがうようよしていて、 かつ、はてブとかでは、それって本当に引用なの? っていうブクマされた記事の概要とか配信しているワケですよ。 その辺り、真面目に考えると不味いんじゃないの? とか僕は思うワケです。

さらに、もっと言えば、例えばこの前に Livedoor Reader から Live Dowango Reader になった LDR とか、 あるいは、@yusukebe さんが有名なボケて! とか、そういう、

著作権法上、これはもしかすると著作権侵害として認められるのではないか

という微妙なケースが、 Web サービスに、いっぱいうようよしているワケで、 そういったケースが、全部一律に、

いついつからは全部非親告罪の犯罪です。期限までに Web サービス閉めるか改善してね。Over.

とかやられると、これはこれで不味いのではないか、と僕は思っているし、 この辺り、真面目に Web サービスの運営サイド手を組んで取り組まないと、 いろいろと不味いのではないか、と僕は思います。

3. 今回の著作権侵害の非親告罪化は、すべての Web 関係者に甚大な影響をもたらす、と僕は思う

そして最後。

今回こう Web サービスによっては、著作権侵害の非親告罪化はいろいろとヤバイよ、ってなことを書き連ねて来た訳ですが、 無論、これは別に Web サービスの運用元だけに限らず、

  • Webでなんらかの情報を発信している皆の問題である

ということは、最後に言っておきたいと思います。

というか、

え、自分、 Web で情報発信なんてしてないよ?

という思っている方でも、Twitter とか Facebook とかブログとかをやっていたら、それはそれで立派な情報発信な訳です。

で、僕も2006年の6月からブログを初めて、もうすぐ9周年とかになるわけですが、その間に、 ユヤタンこと佐藤友哉先生の、「人生・相談」をパロった出始めとか色々書いている訳で、 僕はその辺り、フェアユースというか、公正な利用の範囲で、かつ、違法性なんてほぼない、 とは思っていますが、実際にその辺り、裁判になってみたいコトには、どう転ぶかなんて、本当分からん訳です。

無論、すべての著作権侵害をすべてしょっ引くとか現実的には無理な話で、そんな事を行えば、 裁判所が著作権侵害の審理で埋め尽くされて、色々とこう吹っとばざるを得なくなってくるし、 あと、いくら著作権侵害が非親告罪化すると言っても、おそらくは、

  • Web に関わるすべての人が犯罪者となるような法改正

は、さすがに行わないだろう、とは思いたいですが、実際には過去の著作権法の改正とかで、 リッピング違法化とかアホな要求が通ってるところを鑑みるに、どっかの権利者団体がアホな動きをして、 マジで著作権法が天下の悪法とかになる可能性とかもあるわけで、そういった面から言っても、

  • Web に関わるすべての人が、今回の著作権侵害の非親告罪化の推移を見定め、働きかける必要がある**

と僕は思います。

以上

つか、かなり長いですね。はい。っていうか今書いている行が、 MacVim でちょうど200行目です。長い。

で、まあなんだろ、 Web サービス運営しているスタートアップさんとか、 あるいはユーザー投稿が可能なコンテンツで営業しているスタートアップさんとか、 色々と根回しとか、あるいは団体作って云々して妙な法改正を防ぐ方向に動かないと、

自分たちのビジネスが犯罪になる

という、本当にシャレにならない事態にもなりかねないので、 その辺り働きかけはしたほうが良いと僕は思います。

んで、スタートアップにカネあるかって言っても微妙なわけですが、 一応、この手の問題に取り組んでいる方々へ寄付するとか、あるいは、 なんらかの形で協力するとか、色々打てる手はあるわけで、そこのところ、 真面目に考える必要はあるんじゃないか、と僕は思ってます。はい。

ちなみに僕はというと、そもそもがそういう事をする体力も精神力もない上に、 そもそも最近になって生まれつきのコミュ障だということが分かってきた状態なので、 そういうことは多分無理です。っていうか、俺三重県住みだから、東京とか無理ぽ。 お金もないし。まだ調子が安定しないし。うん。


まあさすがに TPP で著作権侵害を非親告罪化したら、国内のコンテンツ産業が滅んだ、 とかは、議員先生方も避けたいはずなので、何をどうしたらコンテンツ産業の当事者の都合が良いか、 あるいは、これをこうしてもられると我々としては助かる、みたいな話を、 与野党問わず働きかける事が大事なんじゃないかな、と僕は思います。

という事で久しぶりに真面目な長文は以上です。長い文章でしたが、お疲れ様でした。まる